世界選手権記念トーナメント
流星のごとく
平成2年8月、アジアで初めて開催された「世界選手権自転車競技大会」(トラック競技【グリーンドーム前橋】・ロード競技【宇都宮】)を記念し、平成2年5月に行われた『世界選手権自転車競技日本大会特別記念レース』がルーツとなっている。
平成4年「世界選手権自転車競技大会」日本大会の名誉総裁をお務めになられた寬仁親王殿下(ともひとしんのうでんか)より”寬仁親王牌”が下賜されるとともに、それまでの1日開催から3日間開催のトーナメント戦となったため、『世界選手権記念トーナメント(寬仁親王牌争奪)』と名称を改め実施されたのが第1回である。
レース展望
第27回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメントが昨年に続き前橋競輪場で開催される。今年のGI戦線の流れからGI連覇の三谷竜生とGI初制覇の脇本雄太を擁する近畿勢が今大会も中心になりそうだが、平原康多と武田豊樹の地元・関東コンビや深谷知広と浅井康太中部コンビの反撃や昨年覇者の渡邉一成の連覇にも期待が集まる。今年のGIも残るは2大会となり、グランプリ出場権を懸けた争いもますます激しさを増してくるだろう。
三谷竜生
初日12Rに実施される日本競輪選手会理事長杯は北日本が1名、関東が3名、中部が1名、近畿が2名、中国が1名、九州が1名の組み合わせとなった。地元・関東は平原康多、武田豊樹、諸橋愛とS級S班が3人揃ってライン的には堅固だが、機動力の面ではおそらく南潤―三谷竜生で連係すると思われる近畿コンビが強力だ。5月の全プロの1kmタイムトライアルで優勝した南潤が強力地脚で主導権を奪いにいけば三谷にとっては絶好の展開となる。三谷は日本選手権、高松宮記念杯と脇本雄太の先行を目標にGI連覇を飾っているだけに番手戦もお手の物だ。南が気っ風よく逃げてくれればしっかりと勝利をものにするだろう。
河端朋之
南潤に対して先行争いを挑んできそうなのが河端朋之だ。河端は3月の世界選のケイリンで銀メダルを獲得、日本人としては同種目で25年ぶりのメダル獲得となり、理事長杯の出走権利を手に入れた。昨年の大会では特別選抜予選からのスタートで、単騎だったために最終バック9番手の展開となったが、そこから捲っていって3着とスピードバンクの前橋とは相性がいい。現在は落車が続いて長期欠場中だが、西日本連係で中川誠一郎が後ろについてくれれば先行勝負に出てくるだろうし、そうなれば全プロのスプリントで優勝した中川にチャンス到来で、中川の一発が十分に期待できる。
浅井康太
南潤と河端朋之の徹底先行タイプの動向を見極めながら勝機を狙ってくるのがオールラウンダーの浅井康太と平原康多の2人だが、近況の勢いからいえば浅井のほうがやや優勢か。8月の富山記念決勝では片折亮太の先行で平原は番手絶好の展開となったが、4番手から捲った浅井に合わせて平原も踏み込むも浅井が先着して優勝、平原は2着だった。浅井は6月の久留米記念も優勝しており、グランプリの優勝のみだった昨年と比べると今年しっかりと勝ちグセがついていて状態は良好だ。今回も好位置を奪取してからの捲りを決めてくるだろう。
平原康多
平原康多は8月のオールスターでは準決敗退、最終日には落車とツキがなかったが、富山記念の走りを見る限り、決して万全とは言えないまでも状態には問題はなさそうだ。初日特選では打鐘から一気に前団を叩いての先行策に出て3着、2日目優秀と準決はいつもどおりの平原マジックで3番手を確保して連勝している。もちろん今回も平原らしい巧みな位置取りをみせてくれるだろう。ただ、関東は唯一の3人ラインで、武田豊樹がオールスターでの落車の影響で状態に不安があるので、もしかすると平原が思い切っての先行策に出てくる可能性もありそうだ。
諸橋愛
侮れないのが諸橋愛と成田和也の追い込み勢だ。スピードバンクの前橋はもちろん自力選手が有利だが、自力選手たちが外へ外へと踏んでいくために最後の直線で内のコースがぽっかり空いてしまい、追い込み選手が内をすくってから長めの直線を利して一気に差し切るというケースがしばしば見られる。諸橋は7月の地元・弥彦記念を連覇して好調で、イン突きを得意技のひとつにしているので、今回も混戦になれば一発がありそうだ。成田も全プロ記念ケイリンを3連勝で優勝と強さを見せており、昨年は決勝3着と本大会との相性はいい。
脇本雄太
初日の特別選抜予選2個レースでは脇本雄太と深谷知広の2人が軸となるだろう。脇本雄太は8月のオールスターで念願のGI初制覇を達成した。それも逃げ切りで、2着の浅井康太に3車身の差をつける圧勝劇だった。5月の日本選手権、6月の高松宮記念杯の決勝も優勝こそはならなかったが完全に脇本がレースを支配して三谷竜生のGI連覇に貢献しており、今や文句なしの先行日本一だ。昨年の大会では準決で敗れたが初日特別選抜予選はしっかり逃げ切っており、昨年より格段にパワーアップした脇本ならば無傷の4連勝での優勝も夢物語ではないだろう。
村上義弘
村上義弘は8月のオールスター決勝では痛恨の失格に終わってしまったが、シャイニングスター賞では前を任せた古性優作が3番手を取ってくれたおかげで2着に突っ込み、準決では脇本雄太の先行から離れてしまったが辛くも3着で突破と44歳のベテランになってもまだまだ健在だ。9月10日時点で獲得賞金額が7千万円を超えており来年のS級S班復帰はほぼ確実だが、もちろん村上がそれで満足するわけがない。目標はGIを勝ってのグランプリ出場で、今回も村上らしい一走入魂の走りを見せてくれるだろう。
深谷知広
深谷知広はなかなか結果につながらないが、先行パワーは完全に全盛期の強さが戻っており、8月のオールスターでは準決で敗れたものの二次予選で逃げ切り、最終日特別優秀は捲って1着と調子はいい。昨年の大会では理事長杯からのスタートで、理事長杯は後ろに新田祐大に入られながらも逃げ粘って3着、準決も渡邉一成に捲られながらも逃げ粘って2着で決勝進出を果たしている。前橋は11年に開催された高松宮記念杯でGI初優勝を達成した思い出の地でありバンクとの相性が悪いわけはなく、今大会も先行主体の競走で決勝進出を果たしてくるだろう。
渡邉一成
渡邉一成は昨年の大会で新田祐大の捲りを差して優勝している。今年は新田祐大が不在だが、昨年の準決では深谷知広の逃げを捲って1着で突破しているので問題はない。8月のオールスターでもシャイニングスター賞と準決を新山響平の逃げを目標に連勝して決勝進出、7月のサマーナイトフェスティバル決勝ではやはり深谷知広の逃げを捲って優勝と体調は万全だ。今回の特別選抜予選でも早坂秀悟や小松崎大地という絶好の目標がいるし、仮に彼らが脇本雄太や深谷知広相手に力負けしても、渡邉は自力に転じて大捲りを放ってくるだろう。
木暮安由
前橋といえば忘れていけないのが地元の木暮安由だ。16年の大会では特別選抜予選で落車して二次予選Bで敗退、昨年の大会では特別選抜予選を2着と好スタートを切るが準決で敗退とホームバンクでなかなか結果を残せていない。しかし、今年の木暮はひと味違う。6月の高松宮記念杯では二次予選、準決を連勝で突破、決勝では吉澤純平の番手で武田豊樹と競り合いを演じて見せた。8月の小田原記念も決勝3着と好調をキープしており、今回も貪欲なまでに勝利を目指す強い気持ちで地元ファンの期待に応える走りを見せてくれるだろう。
原田研太朗
原田研太朗は今年は2月の全日本選抜で決勝7着、3月のウィナーズカップで決勝3着、7月の高松宮記念杯でも決勝3着と活躍、輪界屈指の捲りの破壊力で今やタイトルに最も近い男の1人といっても過言ではないだろう。戦法的には短走路の前橋は合っていない印象だが、16年の大会では二次予選Aで敗れたものの一次予選は捲りで1着、3日目特選は逃げ切りと2勝を挙げており苦手意識はなさそうだ。現時点では9月の共同通信社杯の結果はわからないが、今年2度目の地元地区でのビッグレースに向けて集中的にトレーニングした成果が今回も発揮されるにちがいない。
根田空史
南関東では根田空史に勢いがある。成績的には大きな着が多いが、6月の高松宮記念杯では3走で主導権を取りきって逃げ切りが1回、8月のオールスターでも3走で先行して2着が1回、捲りで1着も1回あり、GI戦でも積極的な仕掛けが光っている。昨年の大会でも3走で逃げており二次予選Aで9着と敗れているが、一次予選は岡村潤が1着、根田が2着の南関東ワンツー、3日目特選も逃げ粘って2着になっている。今回と特別選抜予選タートと相手は厳しいが、昨年同様に逃げまくってくれるだろう。
松本貴治
一次予選スタート組の注目選手は111期の新鋭・松本貴治だ。GI初出場のオールスターでは4走すべてで主導権を取って2着1回に3着が1回の成績で、渡部哲男と橋本強の四国勢の勝利に貢献と鮮烈なデビューを飾った。次場所の小田原記念でも3走で先行し、準決では5着に敗れたが井上昌己の1着突破に貢献、一次予選は逃げ切り、二次予選は2着で湊聖二とワンツー、4日目特別優秀は捲りの2着で池田憲昭とワンツーと期待以上の走りを見せている。2度目のGIとなる今回ももちろん徹底先行を貫いていくだろう。
イベントファンサービス
【全日】
・地元選手によるお出迎え
・モーニング展望
・未確定車券抽選会
【10月5日】
・前橋競輪女子部トークショー
・ボートレーサートークショー
・グラビアアイドルトークショー
【10月6日】
・名輪会トークショー
・中野浩一氏トークショー
・テオボス選手トークショー
【10月7日】
・U字工事お笑いライブ
・オートレーサーバイクパフォーマンス
【10月8日】
・太田克樹歌謡ショー
・浅香唯スペシャル歌謡ショー
・虎舞士パフォーマンス