KEIRIN GRAND PRIX 2018

KEIRIN GRAND PRIX

GP・YGP・GGPとは

KEIRINグランプリは昭和60年(1985)に創設された。その年のトップクラス9名を集めて対戦させるという夢の対決は、開催前は初めてということもあり関係者の間からも不安の声が出ていたが、いざ30日を迎えると4万人の大観衆で立川競輪場は埋め尽くされた。第1回の選手選考基準は、当時5大特別と呼ばれた競輪祭・日本選手権競輪・高松宮杯競輪・オールスター競輪・全日本選抜競輪の優勝者、世界選手権自転車競技大会プロ・スプリント優勝者、及びS級勝率・勝利数・賞金獲得額第1位者とし、9名に達しないときはS級勝率の上位者より順次選抜するというものだった。第1回の優勝賞金は1000万円。競輪界のトップスターである、中野浩一が優勝した。その後、公営競技1年の最後を飾るKEIRINグランプリは、12月30日に行われることがファンの間で完全に定着し、年末の風物詩となっている。平成13年(2001)には競輪界の頂点となるレースに位置づけられた。

平成16年(2004)からは、賞金(副賞込)が1億円となり、平成26年(2014)の賞金より1億円を超えて(副賞込)さらに注目が集まることとなった。

ヤンググランプリは平成7年(1995)に、兵庫県南部地震の復興支援競輪として、デビュー5年未満の平均競走得点上位者9名を集め、特別競走として行われたのが最初となり、金古将人が優勝し賞金1500万円を獲得した。

その後、しばらく開催されることはなかったが平成13年に行われた新番組制度によってGIIに格付けされ、若手選手の登竜門としてファンの間に定着するようになった。

平成24年(2012)7月より実施されたガールズケイリンにおいても、『KEIRINグランプリシリーズ』で、ガールズグランプリ(FII)が実施され、平成24年(2012)は小林莉子が優勝し初代女王として賞金(副賞込)500万円を獲得した。

平成26年(2014)からは賞金(副賞込)が1000万円となりさらに注目が集まることとなった。

ガールズグランプリ2018展望

今年で7回目を迎えるガールズグランプリ2018が静岡競輪場に於けるKEIRINグランプリシリーズの初日11Rに実施される。8月のガールズドリームレースで悲願のビックレース初制覇を達成した児玉碧衣が中心となるが、自在戦に優れた昨年覇者の石井寛子と石井貴子の一発も十分だ。初出場となる梅川風子と鈴木美教の112期の新鋭コンビが先輩レーサーたちを相手に真っ向勝負を挑めば昨年同様に波乱の決着もありそうだ。

児玉碧衣はビッグレースの壁をなかなか打ち破れなかったが、8月のコレクションいわき平ステージのガールズドリームレースでついに初制覇を果たした。さらにガールズグランプリトライアルAでは予選1こそは3着だったが、予選2はしっかり軌道修正して圧巻の逃げ切り、決勝は最終1センター6番手でバックを踏まされて万事休すかと思われたが、そこから態勢を立て直すと大外を一気に捲り追い込んで優勝している。あの苦しい展開を乗り越えられたのは児玉にとっては大きな自信になったはずで、グランプリ初制覇へ向けて視界は良好だ。

今年前半は腰痛で苦しんでいたが、ビッグレース初出場となった7月のガールズケイリンフェスティバルでいきなりの決勝進出を果たすと、決勝も錚々たる先輩レーサーたちを相手に先行して準優勝と潜在能力の高さを見せつけた。そしてガールズグランプリトライアルBでは予選は3着、4着の勝ち上がりだったが、決勝は最終バックからのイン捲りで逆転ホームランを放ち、ガールズズグランプリ出場を決めた。初出場となる年末の大一番でも112期の新鋭・梅川が力強い先行力を発揮して台風の目となることは間違いないだろう。

石井寛子は昨年のガールズグランプリの覇者だ。ここ数年は後輩レーサーたちの台頭によってビッグタイトルから遠ざかっていた石井だが、グランプリ初制覇によって以前にも増してパワーアップ、今年は7月のガールズケイリンフェスティバルを優勝し10月・伊東温泉のガールズドリームトーナメントでも児玉碧衣を破って優勝と女王の貫禄を示している。カールズグランプリトライアルBでは3日間勝ち星なしに終わったのがやや気になるが、そこで新たな課題が見つかったはず。グランプリ連覇に向けてしっかりと修正してくるだろう。

石井貴子は昨年グランプリ出場を逃したが、今年は5月のコレクション平塚ステージで3度目のコレクション優勝を達成、8月のコレクションいわき平のガールズドリームレースでは準優勝、10月の松戸で今年12回目の優勝と賞金を積み重ね、獲得賞金ランキング3位でグランプリの切符を手に入れた。ガールズグランプリトライアルAは決勝4着に終わったが、予選1は3番手からの捲りで1着、予選2も3番手からの追い込みで2着と調子は悪くなく、グランプリでも持ち味の自在戦法で好位を奪取して初優勝を狙ってくるだろう。

高木真備は今年ビッグレースでは結果を残せなかったが、優勝回数は10回を数え獲得賞金ランキング4位で2年連続のガールズグランプリ出場を決めた。ただ今年前半は原点回帰の積極的な走りで好成績を重ねていたが、3連覇がかかっていた8月のコレクションいわき平のガールズドリームレースで6着に敗れてからはバック回数も減って成績も下り坂になってしまった。それでも、11月の川崎決勝では久しぶりに捲りで快勝、ガールズグランプリトライアルAの決勝では気合溢れる先行策を見せており年末の大一番に向けて復調気配だ。

鈴木美教は地元開催のガールズグランプリ出場を目標に頑張ってきた。今年の優勝は11回で、ガールズグランプリトライアルBでは決勝で2着に入り獲得賞金ランキング5位で見事に出場権を獲得している。勝負どころでは7番手の最悪の展開だったが、最終バックから中のコースを突いて上昇し、直線で外を伸びで2着とまさに執念の走りだった。5月のコレクション平塚ステージで3着、8月のコレクションいわき平ステージのアルテミス賞で2着とビッグレースでも実績を残しており、地元ファンの期待に応える走りを見せてくれるだろう。

尾崎睦は今年の優勝は11回で、ガールズグランプリトライアル直前の獲得賞金ランキングでは6位とボーダーラインにいた。そして迎えたトライアルAの予選1では最終バックでランキング7位の奥井迪が2番手、尾崎が6番手の展開となったが、そこから内へ切り込み、ゴール前では奥井と児玉碧衣の中を割って1着、予選2は2着、決勝は5着でグランプリの最後の切符を手に入れた。今年のビッグレースでは大きな着が多かった尾崎だが、どんな展開になっても最後まで決してあきらめない根性の走りで勝機を見出してくるだろう。

ヤンググランプリ展望

次代を担う若手レーサーの登竜門・ヤンググランプリ2018が静岡競輪場に於けるKEIRINグランプリシリーズの2日目11Rに実施される。今年は近畿が1人、中国が2人、四国が5人、九州が1人で、東日本の選手が不在の組み合わせとなった。近況乗りに乗っている長崎の山崎賢人を中心に推すが、昨年のリベンジに燃える徳島の太田竜馬や3人揃った愛媛勢もライン的には強力で、今年のヤンググランプリも激戦必至だ。

南潤は3月に玉野で行われた111期のルーキーチャンピオンレースでは単騎戦だったが、打鐘の5番手から一気にカマすと先行態勢に入っていた門田凌-松本貴治-今野大輔の愛媛トリオをあっさり飲み込み、そのまま逃げ切って優勝している。その後も4月の函館ナイターではデビューから298日目の史上最速のGIII制覇を達成と快進撃を続け、GI、GIIの大舞台でも逃げに逃げまくって旋風を巻き起こしている。10月の寬仁親王牌でも4日間の主導権取りで初の準決進出を決めており、今回も大ガマシでの一発を狙ってきそうだ。

山崎賢人は今年1月にS級に特進、3月のルーキーチャンピオンレースでは終始8番手で仕掛けきれずに6着に終わったが、5月の松阪FIでS級初優勝を飾ると一気に実力が開花、GI初出場となった8月のオールスターではあれよあれよという間にいきなりの決勝進出を果たし、続く9月の共同通信社杯でも無傷の3連勝で決勝に勝ち上がった。さらに10月の寬仁親王牌では準決で8着と敗れたが残り3走で3勝をマーク、11月の取手では記念初優勝を完全優勝で達成と乗りに乗っており、今回も断然の優勝候補筆頭となるだろう。

松本貴治は競輪学校時代の記録会で最も優れた成績を残した者だけが与えられるゴールデンキャップを獲得した逸材だ。今年1月にS級に特進、3月のルーキーチャンピオンレースでは南潤のカマシに屈したが、愛媛トリオの連係から2着に食い込んでいる。S級での優勝はまだないが、持ち味の持久力を活かした迫力満点の先行が魅力で、GI初出場となった8月のオールスターでは4走すべてで主導権を取りきり、2着1回、3着1回と確定版にも2度のっている。今回も愛媛トリオで好連係を決めてくるだろう。

佐々木豪は今年1月にS級に昇進、3月の小松島GIII、5月の名古屋記念で決勝進出するなど前半戦は順調だったが、後半戦に入ると腰痛に苦しめられてGI初出場のオールスターでは8、9、8着に終わった。それでも、腰痛に負けない強い気持ちで臨んだ地元地区の共同通信社杯では見事に準決進出、10月の寬仁親王牌では2勝をマークと状態が上向き、続く熊本記念の企画レースであるエボリューションでS級初優勝を飾っている。今回も強敵揃いだが、誰にも負けない強い気持ちでライバルたちに立ち向かっていく。